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中古売買でも“演出”が不可欠



アメリカ・日本のホームステージング事情

リビングのステージング例。ホームステージャーの立てたストーリーにそぐわない家具や絵画、小物などは、見えないところに収納するよう指示されるという〈写真提供:(株)さくら事務所〉


ホームステージャーがホームステージングを実施した事例。まるで新築マンションのモデルルームのようだ〈写真提供:(株)さくら事務所〉


寝室のステージング写真。この状態を日々保持するのは正直大変だと記者は思うが、資産価値を上げて売却するためには必要不可欠な努力なのだという〈写真提供:(株)さくら事務所〉


ウッドデッキにもステージングを施す。配置する家具や花のセンスも非常に優れている〈写真提供:(株)さくら事務所〉


写真加工ソフトでステージングした箇所を消してみた。中古感が際立ち、魅力に乏しく見えるのは私だけではないだろう〈(株)さくら事務所提供の写真を編集部が加工〉


訪れた人がいつのぞくか分からない。居住中物件においても、トイレ・洗面台も含めてステージングを行なう〈写真提供:(株)さくら事務所〉
 “ホームステージング”という言葉をご存知だろうか? アメリカでは広く認知・定着している取り組みで、「売却予定の自宅の資産価値を高め、より早くより高く売却するために専門コーディネーターが家具や小物を含めたトータルコーディネートでインテリアを魅力的に演出し、不動産売買のお手伝いをするサービスのこと」((一社)日本ホームステージング協会HPより)だという。具体的にはどのようなことをするのだろうか? 取材した。
◆アメリカが発祥のホームステージング
 日本では、新築マンション販売の現場では、豪華なモデルルームや映像などを用意し、販売促進につなげるのが一般的だ。しかし中古物件の売買に際して、演出や飾り付けなどをを行なうケースは、まだまだ一般的ではない。
 しかしアメリカでは、その部分が専門特化し、ビジネスとして成り立つほど普及しているのだという。
 「アメリカでは、ホームステージャーという専門家が物件売買に際してその物件の価値を高めるために徹底的に演出を行なうのが普通です」と語るのは、ホームステージング発祥の地であるアメリカ・シアトル市のホームステージングの状況について視察を行なった、ホームインスペクターズ協会理事長の長嶋 修氏だ。
 演出といっても、ただ飾り立てるのではない。ホームステージングを行なうに当たっては、ストーリーを立てて、それに購入者の趣味・思考を意識しながら進める。統一したテイストの家具やカーペット、カーテンなどを調達し、設置する。
 “ストーリーに沿って”、というのは、「玄関から入ってきて、ここで子供たちと遊び、ここでは夫婦でくつろぎ…といったようなストーリーだとしますよね。そのシチュエーションに合う小物などをセンスよく配置していくようなイメージ」(同氏)で、食器や小物、花なども調達し、徹底して住宅を演出する。センス良く仕立てられた部屋は、日本で言う新築マンションのモデルルームのようだ。

◆居住中物件でもホームステージングは必須
 なおホームステージングは、空き物件だけに行なわれる訳ではない。居住中物件の売買でも不可欠だという。
 居住中物件の場合、部屋には生活に必要な物が置かれている。家具もすでに備え付けられている。「ホームステージャーの演出方針に合う家具などはそのまま使いますが、合わなければ物置などにしまうよう指示され、ホームステージャーがイメージに合う家具を調達・配置します。食器や小物なども同様です」(同氏)。
 何でも、アメリカではオープンルームの来場者がクローゼットを開けるのも当たり前だそう。「だから、見られてもいい衣類を整理整頓して下げておき、他の衣類は見えない所に収納することになります」(同氏)というから、驚きだ。
 オープンハウス期間、旅行に出る人もいるそうだが、基本的には売却希望者はこの状態を維持しながら生活する。これは相当に大きなストレスを受けそうだが…。「それでも、アメリカでは、売買に際してはホームステージングは不可欠だということが認知されています。ですから、ホームステージャーの指示を不服に思う人はほとんどいません。それどころか「この物件が売れた後、新しい物件に移った際に、ホームステージングをしていただいた際のアイディアが非常に参考になる」と喜ぶ人がほとんどだそうだ。
 そもそもアメリカでは、住宅は資産という考えが強く根付いているという。資産を高く売るための工夫はするのが当たり前、という感覚なのだろう。

◆日本では「片付け、清掃、インテリア」で普及を図る
 日本でも、このホームステージングへの取り組みを導入・普及しようという動きがある。2013年に(一社)日本ホームステージング協会(東京都江東区、代表理事:杉之原 冨士子氏)が設立され、ホームステージングという概念の普及と、ホームステージャーの育成に取り組んでいる。
 「アメリカ式のホームステージングを導入しようとしても、商慣習や文化、住環境の違いからうまくいかないと思われたので、日本流ホームステージングを定着させようと、取り組みを進めています」と語るのは、代表理事の杉之原 冨士子氏だ。
 アメリカのホームステージングでは、前述のとおりストーリーに合わない家具・家財は収納し、センスの良い家具を調達して演出を進める。「アメリカでは家具を購入してホームステージングに使用、売買が契約したらその家具を販売元に返品する、ということも可能なのですが、日本ではそれは難しい。また収納する場所についても、アメリカだとシャッター付きのカーポートがあるためそこにしまい込むことができるが、日本ではそういった場所の確保も困難です」(同氏)。

 そこで、ホームステージャーの養成講座は、「片付け」、「清掃」、「インテリア」による演出を基本に、そのために必要な知識習得をめざすカリキュラムで実施されている。
 「片付け」では「分ける・減らす・収める」のステップやその手法、「清掃」ではほこり掃除から汚れが目につきやすい水回り、窓拭きなどのやり方や使用する洗剤など。「インテリア」では、家具や花の選び方や置き方・飾り方など、となっている。また購入意欲をかき立てられるような写真の撮り方、遺品整理の進め方なども、プログラムに盛り込んでいる。
 すでに、ホームステージャー2級合格者70名、1級合格者6名を輩出している。
 「がらんとしている部屋は生活のイメージがわきませんし、一方で生活感がありすぎる部屋では購入意欲が減退してしまいます。演出方法を習得していただき、購入希望者に『買いたい」と思っていただける物件に仕上げるお手伝ができる。そういう人材を育成していきます」(同氏)。
 数ヶ月買い手が見つからなかった物件について、ホームステージャーがホームステージングを実施したところ、わずか2週間で購入希望者が現れたというケースもあったという。
 どんな商品であれ、それを売るためには演出が必要だ。住宅も然り、である。
 しかも新築至上主義がまだまだ根強い日本で消費者に中古住宅へ目を向けてもらうためには、「この物件に住みたい、買いたい」と思わせる工夫が、新築物件以上に求められる。
 現在、中古住宅流通の活性化に向け、さまざまな施策が進められている。ホームステージングの普及は、そうした流れをさらに後押しする有効な手段となるに違いない。


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