「家賃が安い」「住人と交流できる」などの長所がある半面、「プライベートのなさ」や「ショボさ」という不安要素も多いシェアハウス。はたして大人のニーズを満たすシェアハウスの多様性は広がっていくのか?

◆30代には非交流型、物件としては戸建ての改築が将来性あり?

 大人のニーズを満たすシェアハウスの多様性は広がっていくか、日本最大の不動産投資ノウハウサイト「不動産投資情報局」を運営する志村義明氏に聞いた。

「シェアハウス人気が高まり、今年も、新規のシェアハウス専用サイトが多く立ち上がっています。投資の視点から見ても、銀行融資が以前より整備されてきた背景もあって、数は増えています。

ただ現在、都内の新築シェアハウスの利回りは9%程度と通常の賃貸よりも2%程度高いですが、シェアハウスは水道光熱費などが大家負担となるため経費率が通常より高く、11%程度はないと採算が取れないと思います。

このような低利回りのハウスを、家賃30年保障を謳う建築会社に運用まですべてを任せているプランだと、供給過多になった場合、転用が難しいことから不良債権化して家賃保障額の見直しを迫られる可能性が高く、一見利回りが高くてもいい投資か疑問です。シェアハウス普及にも繋がらないでしょう」

 一方、運営側の視点からは、築古の戸建てや通常のアパートをリノベーションして貸すやり方は依然有効で、長く生き残る。

「最もいいのは、首都圏1都3県のなかで比較的好立地にある築古の戸建てを、シェアハウス用に改築すること。それだと、運営が厳しくなってきたら通常の賃貸に転用も可能。難易度が高いので数自体は増えていませんが、これで利回り20%を得ている人もいます」

 居住物件としてのバリエーションはどうか?

「『テラスハウス』のようなものを求める人は実際には少数派で、好立地で家賃は安いがコミュニケーションはそれほど求めないハウスが人気です。特に30代だと、それがありがたいのでは」

 志村氏は、そうした従来のシェアハウスが苦手という層にも訴求するような物件が今後も増えていくとみている。

「逆に、今の40代以上の方のほうが繋がりやコミュニケーションを求める傾向にあると思うんです。同じ趣味や、普通に住人の方々とお酒を飲んだり、一緒に料理したりなど、そういう多種多様なニーズに応えられる物件数の厚みは、不動産投資の視点から見ても除々に増えているのを感じます」

【志村義明氏】
不動産投資家、コンサルタント。保有物件の平均利回りは16%超。日本最大級の不動産投資情報サイト「不動産投資情報局」(http://fudousan-onepercent.com/ )を主宰

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